俺は葵の頬にそっと手を添えて、柔らかい唇に優しくキスを落とした。

目をまん丸にして、頬を真っ赤に染めた彼女。
ほら、こういうところが可愛いんだよ。

病院内では、こんな表情を一切見せずに仕事熱心だった。

そのギャップが、たまらないんだ。


「葵の全部が好き。好きすぎて、おかしくなりそう」

「そ、そんなに?」

「あぁ。……今すぐにでも襲ってしまいそう」

「えぇっ!?」


しまった、余計なことを言ってしまった。
せっかく我慢してたのに、葵がそばにいると抑えが効かなくなる。

情けないよな、俺。
でも、こんな余裕のない自分をさらけ出せるのも、葵だけだ。


「……私も、覚悟はできてます」

「はっ?」

「でも……もう少し、待って?」


俺のことを上目遣いで見つめ、恥ずかしそうにそう言った葵。

そんなこと言われたら、もう待つしかないじゃないか。


「あぁ、待つよ。覚悟できたら、教えて」

「……はい」

「それまでに襲ったら、本当にごめん……」


俺の言葉に、頬を真っ赤にした葵。そんな彼女の額に、そっとキスを落とす。


待ってやるさ。どんなに時間がかかっても。
俺は、もうこの先葵しかいらない。

そっと、葵の背中にそう呟いた。