キミと過ごした、光輝く270日間のキセキ【2.19おまけ追加・完結】

たかが頂き物の紅茶で笑顔を見せてくれるなんて。

こんなことで喜んでくれるなんて、葵は本当に可愛い。


「リ……? リ・メール…って読むのかな」

「どれ?」


先ほど手渡した紅茶の箱を、俺の方へと向けてくれる葵。

多分、その読み方で合っている。
紅茶の種類なんて確認することなんてしないから、俺も合っているか微妙だけど。


「リ・メール、かな。知ってる?」

「初めて聞きました。とっても美味しかったし、今度お店行ってみます」


そう言った葵は、紅茶の箱を丁寧に紙袋に片付けた。
そして、もう一度紅茶を口に運ぶ。

いいな。こういう穏やかな時間。

今までこんな時間を過ごしたことがなかったから、なんだか新鮮だ。


「あ……そういえば、書斎」

「えっ?」

「書斎、たくさんの参考書があって驚きました」


「あぁ」と短く返事をすると、俺はコーヒーを一口飲んだ。

書斎に大量に並べてある外科の参考書が気になったのか。


「たくさん勉強されてきたんですね」

「どうなんだろうなぁ。人並だと思うんだけど」

「人並だったら〝優秀なドクター〟なんて言われませんよ」


身を乗り出すようにそう言った葵。
彼女に〝優秀〟なんて言われると、なんとなく照れくさい。

今まで散々言われてきていた言葉なのに、好きな相手に言われると嬉しい。