「日用品と言ったら、ドラックストアかな?」

「そうですね」

「男の一人暮らしの部屋には足りないもの多いでしょ? なんでも好きなものカゴに入れて?」

「はい。自分の分は自分で払いますからね?」


 シャンプー、コンディショナー。コップ、箸、タオル。真白さんの家にあるものを借りて使っていたが、ある程度必要な日用品を購入した。


 自分で買うと宣言したのに、あっさりと真白さんにお会計を済まされてしまった。


 それは見事なほどにスマートで負けてしまった。そのスマートさはどこで身に着けたのだろう。童貞のくせに。




「ま、真白さん。払わせてください! せめて自分の分だけは……」

「泉さんは肉と魚。どっちが好き?」

「えっと、魚かな。って話逸らさないでください!」

「逸らしてるのバレた? 俺さ、恋愛経験ないから言葉も上手くないんだよ。だからカッコいい台詞とか吐けないわけ」

「えっと?」

「見栄くらいはらせてよ」


 頑なにお金を受け取ってはくれなかった。言葉が上手くないと言っていたけど、そんなことはなかった。


 なぜなら、真白さんの言葉に私の心は動かされていたから。