致し方ないので、上司お持ち帰りしました






「家事全般、料理、俺が全部やります!」

「へ? 家事、料理? へ? 真白さんが?」



 私に家事代行の仕事を押し付けるのが条件じゃなくて、家事全般、料理を真白さんがやるだと?


 彼に何のメリットもない条件を出されて、私の方が戸惑ってしまう。

 

「待ってください! 普通は逆じゃないですか? 住まわせてやるから、家事と料理をやれ。っていうのが条件だったら分かりますけど……」

「掃除も料理も好きだから、させてもらえたら嬉しいんだけど……」


 へへへっ。なんて照れたように笑うので、優しさから出た嘘ではなく、本当に掃除と料理が好きなようだ。
 



「秋月さんとなるべく穏便に済ませたいんだよね。同じ部署なわけだし。その件で少し協力をお願いできないかな? その報酬として。もちろん、家賃、光熱費は俺が持つから。基本自炊しているから、食費もいらないよ?」

無料(タダ)宿?! 無料(タダ)飯?!」

「どうかな? 俺的には利害が一致してれば、お願いしたいのだけれど。お互いのストーカーが諦めるまで、一緒に住みませんか?」


 じっと真剣な眼差しを向けられる。元カレの付きまといに困っていたのは確かだ。

 それに、家事全般、料理もしなくていいらしい。そのうえ、無料(タダ)宿。無料(タダ)飯。

 なにその好条件。断る理由を探しても見当たらない。