寝室はどの部屋か分からないので、目の先に見えたリビングのソファまで運ぶ。


 どさっと、ソファになんとか乗せると、身体の疲れがどっと押し寄せてきた。長身の男性を運ぶだなんて、初めての経験だ。身体のあちこちが悲鳴を上げている。



 真白さんを部屋まで運んだ。これで私の役割は終わりだ。帰ろうと足を一歩進めた時だった。



 「痛っ」足の小指に痛みが走り、思わず短い叫び声をあげた。間接照明の光に照らされて、見通しが悪い中、足元に視線を向ける。

 どうやら落ちていた分厚い本に足の小指をぶつけたようだ。落ちていた本を何気なく手に取った。



 その分厚い本には付箋がたくさん貼られていた。仕事関係の本かな?付箋がたくさん貼られている様子に勉強熱心だなと感心する。関心しながら、本のタイトルに目を向けると、思わず目を疑った。

 目を擦りもう一度凝視する。
 見間違いじゃない。