航がニコニコと笑い、美紅は航をジッと見つめながら考える。航は体格が良く、彼に睨まれるとどんな人も逃げていってしまう。
「警察官?」
刑事ドラマを頭に浮かべながら美紅は口にする。刹那、航は「いや、違うよ」と言いながら笑う。美紅が何故この職業を言ったのか、察したようだ。
「まあ、警察官は俺の作品に時々登場するな」
「作品?」
「俺、ミステリー小説家なんだ」
「小説家……」
ペンネームなどを航は教えてくれたものの、美紅はミステリー小説を読んだことがないため、わからない。それを悔しく思いながら美紅が正直に話すと、航の大きな手が美紅の頭に優しく触れた。
「なら、これから読めばいいさ。俺のファンになってくれること、期待してるぜ?」
その笑顔を見た刹那、美紅の心臓が大きく跳ねた。
次の日、美紅は本屋に寄り、航の書いた小説を読んだ。個性的な登場人物に、あちこちに散りばめられた伏線、そして難解なトリック、一瞬にして美紅は航の小説の虜になっていった。
(何だか最近、私、真田さんのことを考えてばっかり……)
もうすぐ結婚をするというのに、何故バーでしか会わない男性のことをこんなにも考えているのか。だが、それを美紅は気付かないフリをして、読み終わった航の本を本棚に入れた。
「おい」
声をかけられ、美紅は嫌そうな顔をしないように心がけながら振り返る。そこには婚約者がいた。婚約者が家にやって来たのだ。
「新婚旅行、ハワイとかでいいだろ?面倒くさいけど、旅行行かないと何か言われて面倒だからな」
「警察官?」
刑事ドラマを頭に浮かべながら美紅は口にする。刹那、航は「いや、違うよ」と言いながら笑う。美紅が何故この職業を言ったのか、察したようだ。
「まあ、警察官は俺の作品に時々登場するな」
「作品?」
「俺、ミステリー小説家なんだ」
「小説家……」
ペンネームなどを航は教えてくれたものの、美紅はミステリー小説を読んだことがないため、わからない。それを悔しく思いながら美紅が正直に話すと、航の大きな手が美紅の頭に優しく触れた。
「なら、これから読めばいいさ。俺のファンになってくれること、期待してるぜ?」
その笑顔を見た刹那、美紅の心臓が大きく跳ねた。
次の日、美紅は本屋に寄り、航の書いた小説を読んだ。個性的な登場人物に、あちこちに散りばめられた伏線、そして難解なトリック、一瞬にして美紅は航の小説の虜になっていった。
(何だか最近、私、真田さんのことを考えてばっかり……)
もうすぐ結婚をするというのに、何故バーでしか会わない男性のことをこんなにも考えているのか。だが、それを美紅は気付かないフリをして、読み終わった航の本を本棚に入れた。
「おい」
声をかけられ、美紅は嫌そうな顔をしないように心がけながら振り返る。そこには婚約者がいた。婚約者が家にやって来たのだ。
「新婚旅行、ハワイとかでいいだろ?面倒くさいけど、旅行行かないと何か言われて面倒だからな」

