声が届かなくても、

「俺、したいこととかないし。友達と放課後に遊びに行くとかしなくていいし。部活も、

したいことないし!」

険しい表情で口を動かしているけど、何を言っているのかがわからない。

やっと手を離してもらえたと思ったら、また拓真が言葉を続ける。

今度は手話で。

『琴乃は俺のこと嫌い?』

うまく手話ができなくて激しく首を左右に振る。

『琴乃は俺といて退屈する?めんどくさいって思う?』