声が届かなくても、

拓真、今日はため息つく回数が多いな……。

学校の課題をしながら、前に座っている拓真を盗み見る。

ため息の音が聞こえているわけではないけど、顔と口の動きで少しはわかる。

『たく————』

ピンポーン

『出てくる』

『あ、ありがとう……』

タイミングがいいのか悪いのか、インターホンがなってしまって拓真は玄関に向かってしまう。