ありがとうって伝えたい 祖父編

「そんなのいらない！　あたしずっとここでおじいちゃんとお話ししてた方がいいもん！」

　祖父は「チクショウもう無理だ……」と漏らすと突然顔をくしゃくしゃにして、唇を震えさせながら大量の涙を流す。

『爺冥利(じじいみょうり)に尽きるじゃねぇか。孫にこんなに嬉しいこと言ってもらえる日がくるなんてなぁ、そこそこ長生きできて本当によかったぁ』

　祖父は滂沱(ぼうだ)として止まらない涙を流しながら花那をキツく抱きしめ、まるで花那から初めて誕生日プレゼントをもらった時のような顔で頬をすり寄せてくる。

『ああ、本当可愛いなぁ、絶対幸せになってほしいなぁ』

「だめっ！　だめだよおじいちゃん！　お願い消えないでぇ！　あたしのこと置いていっちゃやだぁ！」

　花那がいくら悲痛な顔で泣き縋り付いても祖父の身体は歯止めが利かなくなってしまったようにどんどん光の粒となって昇天していってしまう。