ありがとうって伝えたい 祖父編

「おじいちゃん! あたしもう五年生になったんだよー!」

『そりゃあすげぇなー! 花那も大きくなって、こんなべっぴんさんになってなー! こりゃもう男が放っておかねぇぞー!』

 「大変だぞー!」と豪快に笑う祖父が楽しくて、花那も「きゃー!」と大口を開けて笑った。

 祖父が健在だったあの頃に戻ったように、どうでもいい話で馬鹿みたいに盛り上がった。幸せだった。こういうふうにずっと祖父と笑っていられたらどれほどいいだろうか。
 けれど楽しい時間は容赦なく過ぎ去っていく。

『ああもう時間か、チクショウ早えなー』

 花那はぎょっと目を見開いた。祖父の身体が光の粒子となって天に昇っていくではないか。

「おじいちゃん大丈夫!? 痛くない!?」