ありがとうって伝えたい 祖父編

「会いたかったよぉっ！」

　でも謝らなかった。詫びなかった。だってここで懺悔(ざんげ)の言葉を吐き出してしまったら、それこそ祖父の愛情を侮辱する事になるから。

「おじいちゃん大好きーっ！」

　だから全力で甘えた。もう二度と放すものかという決意に燃えてしがみついた。

『ははっ……！　じいちゃんも花那のこと大好きだぞー！』

　花那が抱きつくと祖父は幸せそうに笑っていたけれど、その顔には申し訳なさそうな翳(かげ)りが差していた。花那があんなに怖がったりしてしまったから死に方を悔いているように見えた。

「ありがとう、おじいちゃんっ！」

　だから「会いたかった、大好き、ありがとう」をしつこいくらい繰り返す。花那は祖父の謝罪など聞きたくなかったから。今はただこの愛情を全力で噛みしめていたいから。