ありがとうって伝えたい 祖父編

 くだらない冗談を言い合っては祖母に呆れられて、一緒になって馬鹿笑いするくらい仲良しだった……大好きだった祖父に嫌われてしまったかもしれない。
 そう思うとまるで花那のすべてを否定されているみたいで怖かったんだ。

 でも、それは花那の勘違いなのかもしれない。だって祖父は今も花那の事を見守っていてくれていると景は言ってくれた。

 カーテンの隙間から淡い光が漏れている。もう日が昇る。ベッドから降りてカーテンを開けて窓の外の景色を眺める。濃紺を朱色に染めていく(あかつき)の空は幻想的な美しさを誇っていた。

 線香花火の火球を思わせる朝陽は立ち上るに連れて輝きを増していき、蔓延(はびこ)っていた闇を西へ西へと追い払っていく。
 眠れずとも明日は来る。どれほど長いと感じていても明けない夜はないんだ。