ありがとうって伝えたい 祖父編

 最後は優しく頭を撫でてくれた。鼻の奥がツンとして思わず顔を俯ける。胸の奥に重くのしかかっていたものが軽くなって、泣き出したいくらい嬉しかった。

「試しにお願いしてみないか?」

 そんな言葉が自然と父の口から溢れた。

「本当に大丈夫なの?」

 母は念を押すように問い返す。
 
「話の筋はしっかりしていたし、すごく真摯な人で嘘や冗談を言っているようにも聞こえなかったよ。大体ネットで顔写真や電話番号まで載っているんだ、何かあっても簡単に警察に相談できるだろ?」

 母は花那の様子をもう一度じっくり眺めて、腹をくくったように「そうね」と頷いた。

「よし、なら決まりだ」