ありがとうって伝えたい 祖父編

 電話を終えた父が母と花那に降霊について説明してくれる。

 死者と関係が深い間柄の生者がいないと降霊はできない。
 経験上概ね死後十年以内でなければ降霊の成功は難しい。
 死者が望んでいなければ降霊は成功しない。
 一度降霊に成功した霊は二度と面会する事ができない。
 今上げた以外の要因で降霊が成功しない可能性があり、何度でも再挑戦することはできるが月日が経てば経つほど成功確率は低くなる。
 降霊は完全無償であり、いかなる報酬も受け付けず、またいかなる責任も負えない。

 だそうだ、と人ごとのように締めくくられた父の話を要約するとこんな感じだった。

「なんで家でする必要があるの?」
 母が語り終えた父に間髪入れずに質問する。

「親父の魂? が安心するとかなんとか。生前生活してたところが落ち着くのは生きてても死んでても同じ、みたいなこと言ってた」

「じゃあどうして死後十年以内とかそういうのが決まってるの?」

 父は「俺も聞いたけどうまく説明できるかわからないぞ?」と自信なさげに説明してくれる。