「透様、本日の業務は、終了です。お疲れ様でした。」

「ああ、お疲れ。」

俺の妻の陽菜はとても可愛い。見た目は勿論、愛想もあって、気も使えて明るくて優しくて俺も大好きだ。そんな彼女と出会ったのは幼い頃。まだ小学生で、当時、親の付き合いに同行することが少しあり、汚い大人の世界を見てしまいだいぶひねくれてた頃だ。
ある日たまたま、人気の少ない所で家がお金持ちなせいでこんなに大人関係に苦しんでいるんだ。と嘆いていた時。

「幸せってなんだろ。」

「あなた、幸せじゃないの?」

「わあ!」

彼女、陽菜は突然茂みの中から出てきた。

「君は?」

俺の生きていた中で茂みから出てくるなんて初めて見た。何をしていたのか気になって興味が出てきた。

「私は小鳥遊陽菜!それよりあなた幸せってなんだろって言ってたわよね?変な人。」

「変な人?俺は確かにお父様が金持ちで普通よりかはいい生活してるけど、俺だって俺なりに大変なんだ!」

ひねくれていた俺はカチンときて、つい言い返してしまった。すると、

「そうね、みんな大変だわ。でもね、
私は貧乏だけど、友達がいて、家族がいて、衣食住が生きれるぐらいあって、それだけで幸せとは思わない?」

子供な俺に優しく、大人な対応で意見を言ってきた。こんな人は初めてだった。

「俺は分からない。」

「うーん。そうだね、日常の何気ないことが幸せって意味かな!」

陽菜はニコッと笑ってくれた。こんなに自然で眩しい笑顔は久しぶりに見た。俺はこの時、恋に落ちたんだ。

「あ!おまじないかけてあげる!」

「おまじない?」

驚いていると、陽菜は近づいてきておでこにチュッとキスをした。

「!?」

「これは幸せになれるおまじないだよ!」

胸がドクンッと鳴った。こんな心臓が鳴ったのは陽菜だけだ。

「じゃあ!私はそろそろ行くね!」

「あ、待って!」

呼び止めるまもなく行ってしまった。

その後、俺は親の都合で転校したが陽菜は忘れられず絶対捕まえると思い何とか頑張って、一緒の高校へ進んだ。だが、俺が転校したショックか、俺のことは丸々忘れていた。悲しかったが頑張った。そして、遂に俺は正式な婚約をして、結婚をして、子宝にも恵まれた。


「ただいま!」

「ほら!美奈!パパだよ!」

「パパ!おかえりなしゃい!」

美奈という娘が走って俺の元へ来る。

「美奈!ただいま!」

「パパおかえりなさい。」

陽菜も迎えてくれた。俺は2人を抱きしめる。

「ありがとう。大好きだよ。」

「何よ。突然。私も大好き。」

「パパ!だいしゅき!」

2人にキスをして今日も幸せを噛み締めている。

END