【完】御曹司の彼は私にだけ甘々!?

翌日、透がいつも通り迎えに来て学校へ行った。

「よう!ひーちゃん!」

下駄箱で靴を変えてるとこうくんに声をかけられる。

「あ!こうくん!おはよう!」

私は挨拶したけど、透は睨んでいる。

「昨日は楽しかったよ!最後の言葉忘れるなよ!」

そう言い残してさっさと立ち去ってしまった。最後の言葉って「まだ諦めないからな」だよね?どういう意味だろう?

「…陽菜?昨日って何?」

透の顔を見ると冷たい表情で怒っている。怖い。

「え、と、
昨日一緒に帰って、お母さんに会いたいって言ってたから家で少し話しました。」

それを聞くと、透は私の腕を引っ張って空き教室へ向かう。

「と、透?」

教室に入ってドアを閉めると、正面からハグされると、透の心臓の音が聞こえて、痛いぐらい強く抱きしめられる。


「陽菜は俺が他の女の子と家に2人きりで居てもいいんだ?」

声色が怒ってる。確かに、透がそういう状況は嫌かも。こうくんだから、油断してた。

「…ごめんなさい。もうしません。」

謝ると少し力が抜ける。

「良かった。分かってもらえて。
ねえ、陽菜。陽菜はまだ俺の事好きじゃない?」

突然!?なんて答えたらいいんだろう。好きという言葉が零れそうだけど、実際は言えない。「好き」という二文字が、怖い。何か理由がある訳では無いけど、怖くて言えない。心臓が喉から出そうなぐらい。だから、もう少し勇気が出るまで待って欲しい。

「そう、か。」

透の切ない声。ごめんね。透。

「分かった。
…好きって言わなくていいからキスしてもいいかな?」

私が透のことを好きだと分かってるからこの提案をしたのかな?ここで頷いたら透に好きだってことバレる。でも、それぐらいはしよう。

「…うん。」

少し離れて透の服を握って目を閉じる。

柔らかい唇が一瞬だけ触れる。

「ありがとう。
…これで、少しだけ、安心した。」

ニコッと笑う透があまりにも可愛くて私は抱きしめる。
ごめんね。好きって言えなくて。