【完】御曹司の彼は私にだけ甘々!?

「おはよう!陽菜。」

「おはよう!透。」

毎朝恒例の挨拶をして2人で学校へ向かう。

「そろそろ運動会だな。」

「うん!」

そう!もうすぐ大好きな運動会!私は勉強は中ぐらいだけど、運動は大好き!楽しみだなー!

「陽菜は去年も運動会の時に活躍してたな?」

去年?覚えてるんだ。いつから私のこと見てたんだろう。

「そうかな?確かに、私は動くのが好きだから色々出てたけど。」

「あの時は言えなかったけど、動いてる姿、かっこよかったよ。」

透は、繋いだ手を強く握って、耳を少し赤らめる。お世話かな?と思ったけど、お世辞だったら、耳を赤くしないよね。って事は本心…?

「!」

嬉しくて顔が熱くなる。だから思わず顔を逸らす。透の甘さにまだ慣れない。


「陽菜!ごめんな!運動会関係の事で忙しくて、終わるまで一緒に帰れない!」

運動会の練習が始まる直前に透から謝られた。

「そっか。ううん!大丈夫!運動会に向けてお互い頑張ろうね!」

帰り道、ふと思いついた。今まで一緒に居すぎて分からなかったけど、1人ってこんなに静かで寂しいんだ。

「…透。」

頬を涙がツーっと伝う。小さく呟いた声にはあの優しい透の声が帰ってこなかった。


「みんな席に座れ!」

1人で涙を零しながら帰った翌日、この時期にまさかの転校生が来た。でも、私は今、透の事と運動会の事で頭がいっぱいだ。

「ほら、堂本、入ってこい!」

先生に呼ばれて入ってくる音がする。その転入生がカッコイイのか、ザワザワしている。でも、私は透が校庭に居るから外を見つめる。

「堂本、挨拶を。」

「はい。堂本 康太です。よろしくお願いします!」

堂本康太?なんか聞いたことある気がする。でも、どうでも良くて顔を見ない。

「そしたら、堂本は後ろの席だな!」

後ろの席って、私の横の席だよね?

「初めまして!隣よろしくお願いします!」

さすがに挨拶されたのに返さないのも悪いと思って顔を上げる。

「よろしくお願いし、…。」

「あー!ひーちゃんだ!」

「こうくん?」

転入生はまさかの昔の友達でした。