京急快特青砥行きが、横浜駅のプラットフォームに入ってきた。
 サイレンと共に、入ってきた。
「あれ?」
「あの」
「はい」
「いつも私のアイスクリーム屋の方へ来ている方ですね」
「ええ」
 と言った。
 ノリタカは、自分が不審者になってはいないか、不安だった。
「あの」
「はい」
「僕、京急快特やら東海道線が、好きで、週末になるとよく写メを撮りに来るのです」
「え、そうなんですか?」
「はい」
「私」
「はい」
「自分が、鉄道オタクなので、周りにカミングアウトできなくて」
「でも」
「はい」
「今、カミングアウトしたじゃないですか」
「あ…」
「そうだ」
「はい」
「今日、時間、ありますか?」
「はい」
「このまま、次の京急快特青砥行きで、都営浅草線で、新橋あたりまで行きませんか?」
「え?」
「あそこに鉄道博物館があるんですよ」
「はい」:
「一回、じっくりお互い、電車のこと、語り合いませんか?」
 ノリタカは、そのまま、京急快特青砥行きに乗って、泉岳寺駅を経由して、新橋駅の近所の鉄道博物館へ行ったらしい。そして、吉野家で牛丼を食べながら、じっくり電車の話をして付き合いが始まったらしい。<完>