1年前のクリスマスの日。

いつもどこか孤独で寂しかった私を闇の中から彼は救ってくれたんだ。

「メリークリスマス!クリスマスケーキはいかがですか?」

「...」

待ち行く人はみんなチラチラ見てくるが誰も足を止めない。

(さっむ!早く帰りたい。でも早く帰ったところで1人だからバイトしてる方がマシなんだけどね...)

「メリークリスマス!クリスマスケーキはいかがですか?」

「...」

「メリーク...」

「すみません。ケーキ1つ頂けますか?」

「え?」

「え?」

「あ!すみません!ケーキお1つですね?」

「はい」

彼はそう言って私に笑い掛けてくれた。

その瞬間、時間{とき}が止まった気がした。