古庄は気を取り直して、学年のホワイトボードの連絡事項を確認すると、手帳にそれを書き留める。それから席を立つと、クラスボックスにある配布物を確認する。


そこに、チャイムを聞いて職員室に戻ってきた真琴と行き当たった。


「お、お疲れさん!」


古庄は、いつも以上に優しく屈託のない笑顔で真琴に声をかける。


その笑顔は、真琴の胸の中に渦巻く憂いを一瞬にして忘れさせる力がある。
真琴はその心の中にある古庄への想いを再認識して、密かに想いがあふれた息を()く。そして、気持ちを切り替えて古庄の後を追うように、ホームルームへと向かった。