古庄はそう言ったが、静香がどんな気落ちで古庄と押し問答をしたのか考えるだけで、真琴は胸が締め付けられる。
「押し問答と言っても、感情的になって言い合ったりはしてないよ。メールで事務的なやり取りをしただけだから……」
真琴の気持ちを絆そうと、古庄は言葉を付け足したが、真琴の表情はとうとう固まってしまう。
「いずれにしても、これで全部決着した。スッキリしたよ」
そう言った古庄の表情は、やっと柵から解放されたからか、本当にスッキリとして一点の曇りもなかった。
けれども、真琴は同じ表情を返すことが出来ない。この話題を、〝普通の同僚〟として普通に話をするのは、真琴にとって難しかった。
悲しくて泣きたくなるわけではない。でも、真琴の目には涙が浮かんでくる。
素敵な人の花嫁になるという静香の夢をぶち壊してしまったこと。静香を裏切って、静香の好きな人と心を通じ合わせていること。
それを自覚するたびに、真琴は深い自己嫌悪に陥ってしまい、普段の自分を取り戻すのに、相応の時間を要した。



