「おーい、守!」
と、誰かが2人に声をかける。
その声に後ろを振り向くと、そこには体育祭での「1人リレー」で伝説となった男・道明寺フミヤが立っていた。
道明寺フミヤはこの青蘭高校一のイケメンと言われており、そのルックスの良さからファンは多い。
フミヤは多くの女子を魅了するイケボで話し続ける。
「俺たちとビーチフラッグやろうぜ」
「……遠慮をしておく」
「おいおい、無人島に来てまでクールを気取るつもりか?」
「いつも言ってるだろ。俺はクールじゃない。色々と面倒なだけだ」
「おいおい、修学旅行っていうのは人生に1度しかない本気(マジ)イベントなんだぜ? そこで面倒な事を嫌ってたら思い出を残せないだろうが」
「思い出ねぇ――」
守はそうつぶやくと里奈へと視線を向けた。
その意味ありげな眼差しに里奈の胸はドキリと高鳴る。
「わ、私がなにか……」
「いや、別に」
「フッ、よし守。西園寺に良いところみせようぜ」
「あ? なんでコイツが出てくるんだよ」
「男っていうのは女子にカッコつけたい生き物だからな。俺はその気持ちよくわかるぜ」
「……おまえ、バカか。俺はおまえみたいな恥さらしな事はしないんだよ」
「恥もさらせない奴に、女は靡かないぜ?」
「……」
と、守がゆっくりと動き出す。
そしてフミヤの横を通り過ぎる時睨みつけるようにフミヤの顔を見ながら言った。
「やってやんよ」
フミヤは口元に笑みを浮かべる。
「そうこなくちゃな」
こうして男たちによるビーチフラッグ対決が始まる。

