ミル*キス

「ふぁああああああ」


ようやく体が落ち着いた頃、オレは階段を下りて、1階のリビングに向かった。


「おはよう」


「おはよ。ってもう昼やけどね」



ダイニングテーブルについている母親が新聞を読みながらオレに声をかけた。



オレもそうだけど。


この人も今起きたところだと思う。

パジャマ姿で、髪もボサボサ。


スッピンにメガネ。


こんな姿、絶対客には見せられないだろうな。


この人の仕事は水商売。


若い頃はホステスやってて、今はクラブのオーナーだ。


店は数店舗に増え、経営も順調なようだ。


今はこんなだけど、出勤時には隙がないほど自分を完璧に仕上げる。

いつも身に着ける高級な和服や宝石。

彼女にとっては戦闘服であり武器みたいなもんなんだろう。