ミル*キス

そこは自分の部屋だった。


閉めきった窓の向こうから聞こえるのは蝉の声。


間違いなく今は7月だ。


ベッドの上でハァとため息をついた。


どうりで寒いはずだ。


布団が床に落ちていた。


「寒っ」


両腕を抱えて擦る。


普通に考えればこの季節に寒いなんてありえないのだが……。

オレはいつも寝る時にエアコンの設定温度をめちゃくちゃ下げる。

その温度は人から言わせるとありえないらしい。


しかも上半身は何も着ない。


肌に直接布団が触れるのが好きなんだ。


部屋を不必要なぐらい涼しくして、布団に包(クル)まってるのが。


こんな寝方、誰に話してもおかしいって言われる。

だけど、オレはこれじゃないと寝付けない。


何かに包まれていないと安心できないんだ。


何か……。

いや、誰かでもいい。


誰かが包んでくれたら……。


もちろん、オンナ限定だけど。


そこまで考えてハッとした。


その時、頭に浮かんだのはスミレさんだったから。


オレ……

彼女とエッチなことしたいのかな?