ミル*キス


何も言えないでいるオレはニヘラと笑ってみた。

――と、とりあえず笑ってごまかそう。


そんなオレの胸をツツツ……と指でなぞりながら、彼女は再度問いかける。


「つきあってくれるよね? あたしと」


指の動きが止まったと思ったら、軽く爪を立てた。

答えによっちゃあ、ひっかかれるのかな、オレ。

ある意味、脅迫?

胸にナイフとか拳銃をつきつけられた気分。



ウソがつけない正直者な自分を呪いたい。


しばらく続いた沈黙が2人の間の熱を急速に冷却していく。


ぴゅうって北風が吹き抜ける感じ。



「やっぱり」


トモミさんの表情がさっと変わった。


なんていうか……

今までの官能的な表情は全部演技だったんじゃないか……って勘ぐってしまうぐらいに。


――ドンッ

オレの体を押しのけると、ベッドから立ち上がり、こちらを見下ろす。


「悪いけど、あたし、ちゃんと付き合ってくれる人じゃないとヤラないから」



「へ?」