過去の記憶をたどっていると、急に背筋が寒くなってきた。

なのに、額にはヘンな汗が浮かぶ。

胸が苦しくなる。



「あ……あかん……吐きそう……」


「えっ」


オレの言葉に驚いて、起き上がりそうになったスミレの腕をつかんだ。


そしてギュっと体を抱きしめる。


「ごめん……。しばらくこうさせて……」



スミレの香りと体温。

触れ合った胸。

オレの鼓動と彼女の鼓動がシンクロする。


上がっていた心拍数が落ち着いてくる。