オレはプッと吹き出す。


「何がおかしいのよ?」


「いや、スミレと牡丹って、どんな組み合わせやねん。漫才コンビみたいやな。スミレが野原スミレやろ? 彼女は? 花園牡丹とか?」



腹を抱えて笑うオレにスミレは呆れたような目を向ける。



「残念でした。彼女は普通の苗字よ。江川(エガワ)、“江川牡丹”!」


「なんやー。ほんま普通やな」


「もぉ、何がっかりしてんのよ。さ、ご飯食べよ」



それだけ言うと、スミレはキッチンの方へ行ってしまった。