写真を裏返してみると、消えかけた文字でこう書かれていた。


“牡丹と…”


牡丹?

“ぼたん”って読むんだよな?


これって、もう一人の女の子の名前?


もう一度写真を表に返していると、スミレの声がした。


「ご飯、できたよ?」


そしてオレが手にしていた写真に気づくと「あっ」と声を上げる。


「これって……高校生の頃のスミレ?」


写真をひらひら振りながらからかうように笑うオレ。


「もぉ! 返してよー」


スミレはオレの手から抜き取るとエプロンのポケットにしまった。



「それ、友達?」


「……うん」


「牡丹って名前なん?」


「うん」