その日の夜。


スミレがキッチンに立っている間、することがないオレはリビングの隅にある本棚の前にいた。


「なぁ、本読んでいい?」


スミレに声をかけると


「いいよー。適当に読んでてー」


と返事が返ってきた。


目に付いた文庫本を本棚から取り出す。


ペラペラと捲っていると、何かが挟まっていることに気づいた。


写真だ……。

でも少し違和感がある。

普通の写真とは違って、ほぼ正方形って感じの形だ。



制服姿の女子高生が二人、仲良さそうに肩を寄せ合って写っている。


一人は、スミレ。



もう一人は誰だろう。


クールな印象を与えるスミレとは真逆のタイプ。


人懐っこい子犬みたいな愛くるしい顔立ち。


両頬のエクボが印象的な女の子。