ネコ娘と別れてから十数分後、オレは市内で一番大きな病院に到着していた。


病室のドアをスライドさせて開けながら、中を覗き込んだ。


「おーす」


「お。来てくれたん?」


ベッドの上で、パタンと雑誌を閉じて、顔を上げたのは


ケンジ。


中学からの親友で、今はD大に通う大学生。



「おー。悪かったな、急に呼び出して」



「別にええけど、どうせヒマやし」


デートの予定もなくなったし。

……あ、結構根に持ってるな、オレ。


「つーか、個室って。この贅沢モノめ」


そう言いながら、ベッド脇にあったパイプ椅子に腰掛ける。


「ちゃうねんて。今、大部屋に空きがないねん」


「ふーん。で、大丈夫なん?」


ケンジの左腕に視線を落とした。

ギブスで固定されていて、見るからに痛々しい。