ミル*キス

「はい?」とミーコは振り返る。


「あのさ……ちょっとこっち来て……」


そう言って歩き出すと、オレはソファに腰掛けた。


ミーコも向かいに座る。


ミーコには今の気持ちを正直に話すべきだ……そう思った。


残酷なことを言うかもしれないけど、オレなりの誠意のつもりだった。


ふぅと息を吐き出す。



「あのさ……。もうわかってると思うけど……。昨日、スミレさんのマンションに泊まった……」


ミーコは黙ったままじっとオレを見つめる。

その表情からは何も読み取れなかった。


「お前にはちゃんと言わなアカンって思って……。オレ……彼女が好きや……。だから……ごめん」


オレは頭を下げた。

ミーコは相変わらず何も言わない。


ひょっとしたら泣きそうになってるんじゃないか。


そう思った時、ようやくミーコの声がした。



「恋を……

 してみたかったんです」




「えっ?」