ミル*キス

「あれっ? おかえりなさいっ」


空の洗濯籠を抱えたミーコが突っ立っていた。

おそらく洗濯物を干し終えたところだったんだろう。



「あー……ごめん。連絡すれば良かったな。オレ、飯、食ってきた」


悪いことしたな。

そう思っていたのに。


ミーコは何事もなかったかのようにニッコリ微笑む。


「そうですか。ひょっとしたらそうかなぁ……って思ってたんですけど、念のために作っただけですから。気にしないでください」


「あ……いや、それと……ごめん」


「えっ?」


オレはチラリとゴミ箱の方に視線を向けた。


昨日オレはミーコが作ってきてくれた惣菜をゴミ箱に捨てた。

当然ミーコも気づいてるだろう。


一瞬きょとんとしていたミーコはオレの様子ですべてを理解したみたいだった。


「ああ……」と呟くと首を横に振った。


「いいです。気にしてませんよ」



そして「あ……お掃除しようかな……」って言うと、リビングを出て行こうとする。


「あ……ちょっと待って」


オレはミーコを呼び止めた。