迷子の迷子の子ネコちゃん♪

……ってか。


目の前には恥ずかしそうに目を伏せたネコ娘が一匹。



駅まで送り届けたオレは腰をかがめて、彼女の顔を覗き込んだ。


「一人でちゃんと帰れる?」


「ハイ……。あの……お世話になりました」


申し訳なさそうにペコリと頭を下げる。



どうやらこの駅は普段彼女が使っている駅ではないらしい。

今日はたまたま用事があってここで降りたのだとか。


ナンパだと勘違いして、オレを巻こうとあちこち逃げているうちに迷子になったってわけ。


こんな漫画みたいな展開あっていいのか?



なんとなく心配だったので、ちゃんと切符を買うまで見届けることにした。


「あの……本当にご迷惑おかけしました」


改札口の前で振り返ると、シュンとして、もう一度頭を下げるネコ娘。


「ほんまに。ご迷惑かけられました」


なんてちょっと嫌味を言うと、「ひぃ……ごめんなさい~」なんて言いながらさらに体を小さくさせる。


「ぶはっ……」

その姿がおかしくて思わず吹き出してしまう。


「気ぃつけて帰りーや。あ、そや」


ポケットをごそごそと探る。