フジさんはいつまでもオレのことを子ども扱いしてて、「サトぼっちゃん」なんて呼んでる。


「あたしも“サトぼっちゃん”って呼ぼうかなぁ♪」


ニヤニヤ笑ってこちらを見る。


「お前がその名前で呼んだら、オレ、マジでキレるから」


「えー、怖いなぁ……。わかりましたよぉ」


「いや、でも、“工藤さん”もなぁ……。おかんと区別つかへんやん。下の名前でええで。そのまま」


「え……」


ミーコは急に真顔になって、それから落ち着かない感じで瞬きを繰り返す。


「じゃ……“サトシさん”で、いいですか?」


「ああ。ええよ」


ミーコはえへへと笑って安心したような顔をした。



「名前といえば……」


オレはさっきからちょっと気になってたことを尋ねることにした。