ミル*キス

それからオレ達は他愛ない話を続けた。


ミーコはフジさんの容態についても説明してくれた。

それによると明日には退院できそうだということだった。

だけど、しばらくは家でゆっくり静養してほしいと言っていた。


実はフジさんが入院していたのは、ケンジが入院している病院と同じだった。

つまり、オレが初めてミーコに会った時、ミーコはフジさんのお見舞いに行った帰りだったそうだ。

そのついでにケンジの病室にも顔を出していたらしい。

ギブスに寄せ書きした?って聞いたら、「したした!」って笑ってた。


オレがもう少し早く病院についていたら、ケンジの病室で出会ってたかもしれない。

あるいは遅れていたら、駅前でミーコの鍵を拾うこともなかっただろう。

まぁ、どちらにしてもラファロで出会ってるんだろうけど。


偶然というかめぐり合わせというか……。


「不思議な感じやなぁ……。まさかお前がフジさんの孫とはなぁ……」


しみじみそう言うと。


「あたしだってビックリですよ。工藤さんが“サトぼっちゃん”だったなんて」と、口元に手を当ててププッて笑う。


「うわっ……最悪や」


しまった。

こいつに弱みを握られた感じ。