ミル*キス

「年取るとマンションの方が楽らしいですよー」


ミーコは何事もないようにふわりと笑う。


「ふーん……」


オレはもう一度味噌汁を一口飲んだ。


「お前も色々……複雑なんやな」

「え?」


ミーコは一瞬キョトンと固まる。

そして「ああ……」と呟いてからクスクス笑う。


「そうでもないですよ? お母さん、すごく優しくてキレイだし。お料理もすごくおいしくて。自慢の母です。なんでもやってくれるから、あたし今すごく楽だし。それに弟も可愛いし」


そう言ってまたうれしそうに笑う。


「あ! 洗濯機回そうっと!」


部屋を出て行くミーコの後姿を眺めながら、オレは思い出していた。


以前、ミーコがラファロで言っていたことを。