ミル*キス

とりあえずTシャツをはおり、ダイニングに戻る。

テーブルに並べられていたのは、まるで旅館の朝食みたいだった。


焼き鮭、豆腐の味噌汁、玉子焼き、それから小鉢の中にはひじきの煮物。


正直意外だった。

ミーコがこんなちゃんとしたものを作れるなんて。


「これも今作ったん?」


ひじきの煮物を指して言うと、「ああ、違いますよ」とミーコは首を横に振る。


「それは昨日の夜、作っておいたんですよ。おばあちゃんから工藤さんの好きなもの聞いてたから」


そしてお茶の入った湯のみをテーブルにコトンと置く。


「意外に渋いですね」ってクスクス笑いながら。


ミーコの言うとおり、実はオレは和食党だった。

いわゆるお袋の味ってのに弱い。


多分、フジさんの影響だと思う。

週に3日しかこないフジさんは、いつも、日持ちする煮物を作ってくれた。

ちゃんと栄養のバランスが取れた食事ができていたのは、間違いなくフジさんのおかげだ。