一瞬の沈黙。

それから、スミレさんはプッと吹き出す。


「アナタってほんとヘンな人」


「なんでやねん」


「昨日はあんなに簡単にキスしといて……。
今度は『好きになってもいい?』なんてしおらしいこと言うし。

どっちがホントのアナタなの?」


「ああ……ほんまやな。オレ……なんか、順序間違ってるよな」


「うん、間違ってる」


「こんなヤツ嫌い?」


「そうだなぁ……。イマイチ信用できないな」


「そっか。オレ信用ないなぁ……」


オレ達はそれからもポツリポツリと他愛ない話をし続けていた。


「スミレさん」

「ん?」

「スミレ……って呼んでもいい?」

「調子乗りすぎ。それはダメ」


あっさりと拒否された。


だけどなんだかんだ言いつつも、スミレさんはずっとオレに肩を貸してくれていた。


その肩がすげー心地良くて。

あったかくて。



いつまでもこうしていたい。

太陽なんて沈まなければいいのに……


なんて、あきれるぐらい古臭いロマンチストが言いそうなこと……



オレは考えていたんだ。