帰り道、また電車に揺られた。


夕方の車内は行楽帰りの家族連れやカップル……それからいかにも学生って感じの集団で賑わっていた。

なんだか疲れた。


スゲーだるい。

けど、見渡してみても、当然空席などなく。

オレはずしりと重く感じる体をドアの壁に預けた。



小学校の道徳の時間。

オレ達は「正しいことはこういうことなのだ」と刷り込まれた。

だけど世の中は教科書どおりにいかないことの方が多い。

人の感情も、起こる出来事ももっともっと複雑に絡み合って、時々、何が正義なのかすらわからなくなる。


それがダメなことだとわかっていても、流されてしまう人間だっている。

自分の弱さを責めたり、時にはそれを言い訳にしたりして。


――強くなりたい。

誰もがそう願いながら。


そうやって……それでも社会の隅っこで呼吸して……生きてるんだ。