ミル*キス

コウカさんはゆっくりと目を開いて、スッと手を伸ばす。

そのまま、ムニってオレの頬をひっぱる。


「いでっ」


「生意気。あたしに意見するなんて10年早い」


そう言って、フフンと笑う。


「初めて会った時から何センチぐらい、背、伸びたのかな……」


「さぁ。どうかな。20センチぐらい?」


「ほんと子供だったよねー。腕なんか細くってさ……筋肉なんて全然なくて」


からかうように、指先でオレの髪をクルクルと弄ぶ。


「さっき、軽々と抱きかかえられたからビックリした」


「……ておい。寝たふりかい。あん時すでに起きてたんかい」


突っ込みを入れると、フフフと笑う。


今度はアゴのあたりを指でなぞる。


「あの頃はヒゲも生えてなくて、ツルッツルの肌だったよねー」


「いたいけな中学生に色々教えてくれてありがとう」


「えー? そうやったっけ? あの頃から充分スレてたけどね~」


「はは」


「大きくなったよねぇ。男の子の成長ってすごい。
知ってた? あたし、会うたびに変わっていくサトシ君にちょっとだけドキドキしてた」


「ひょっとして、オレのこと好きやったん?」