「え? 高校生? オレらが行った時には、女子高生なんていなかったなぁ。それに、そんな話はフジさんからも聞いてへんし」


「そっか……」


「どうした? 急に」


相沢さんが首をかしげて不思議そうな目を向ける。


「あ、いや。なんでもないねん」


視線をコーヒーカップに落として考える。

そっか。

スミレさんのことは、相沢さんは知らないのか。

フジさんが退院したら、もう一度確認しようかな。

そう考えていたら、相沢さんの声が耳に届いた。


「サトシ。今日、日曜やし、予備校休みやろ?」


「あー……。うん」


思わず苦笑い。

予備校なんて最近サボってばっかだったから。


「じゃぁ、天気もえーし。でかけへん?」


バイクのハンドルを握るようなジェスチャーをする相沢さん。

相沢さんはライダーでもある。

ホンダやドゥカティの話をしだすと少年みたいな顔になるんだ。

オレがバイクの免許を取ったのは相沢さんの影響だ。


窓の外を見ると、たしかにバイクで出かけるのもいいかもなぁ……って思わせるほどの青空が広がっていた。

今日は7月のわりには涼しそうだし。


この頃沈みがちだった気分を払拭するためにも……


「うん。行こうかな……」


そう答えた時だった。