ミル*キス

母は手にしていた通帳や印鑑を机の上に置いた。


「何……これ……?」


「手切れ金」


「手切れ……って」


「アンタを妊娠した時、木虎がこれを……」


一瞬、口ごもって……それからまた言葉を続けた。


「口止め料、兼、手切れ金。つまりそういうこと。あたしは一銭も使ってない。これはアンタのもんや。アンタが好きに使ったらいい。チロルチョコなんてセコいもん盗むんやったら、これ使って好きなだけ何でも買ったらいい」


それだけ言うと、静かに部屋を出て行った。


残されたのは机の上にポツンと置かれた通帳。


まさか……ね。


こんなドラマみたいな話信じられるか。


疑いながらも、手を伸ばして通帳を開く。


名義はオレになってた。


さらにページをめくった瞬間、オレは目を見開いた。