ミル*キス

そこには初めて内閣入りした、文部科学大臣が笑顔で映し出されていた。


画面の下のテロップには、「木虎小五郎(キトラ・コゴロウ)」の文字。


「木虎……って……」


何の冗談かと思った。

中学生のオレでも顔と名前は知ってた。




木虎小五郎はいわゆる二世議員だ。


もともとバッググランドが揃ってるわけで。

かなり若いときから政治家として活動していた気がする。


そのスマートなルックスのせいで主婦層から絶大な支持を得ていて、

党の広告塔の役割も担っているのか、まるでタレントみたいにあちこちのテレビ番組に出まくってる。


歳はまだ40代半ばぐらいだと思うけど、

たしか、今一番総理大臣になって欲しい人……みたいなアンケートでも上位に名前が挙がってた。


そんな人がオレの父親だって?


まさか。


「ブッ……アホらし」


中学生だからってバカにしてんのか。


「ウソつくんやったら、もうちょっとマシなウソついたら? そんな話、誰が信じるねん」