ミル*キス

結婚こそしなかったが、相沢さんはことあるごとにうちにやってきた。

それは自分の息子に会うためか、それとも昔の恋人に会うためだったのか

オレにはよくわからないけど。


オレが物心ついた頃から彼はよくうちにいたし、オレのことも兄貴同様、本当の息子みたいに可愛がってくれた。





「はい。お待たせ」


相沢さんがベーコンエッグをオレの前に置いた。


そして温めたロールパン、バター……それからジャムの瓶を手際よくテーブルに並べる。

そんな相沢さんに母が尋ねる。


「……最近、ユウトはどうしてるの?」


「ああ。元気みたい」


「そう……」


ユウトというのがオレの兄貴。


兄貴は異父兄弟であるオレのことは可愛がってくれたけど。

母親らしいことを全くしない自分の母のことは嫌っていた。


いつも何かにつけ反発ばかりしていた。

そしてなるべくしてなったというべきか。

中学に入ったとたん、グレた。