そばに特定の誰かがいて欲しいと思えるのは


すごく久しぶりで変な感じがする。


だって、落ち着くんだ。


彼女の凛とした声も、包み隠さず思いのままに言葉を発するところも、全部。


嫌だと思ったら嫌。いいなと思ったらいい。


いつも相手の機嫌を伺ってばかりの俺にとっては、


そんな存在はすごく貴重だった。


「よ、吉川くん。」


いつもと同じように涼井はベンチに座っていた。


ただ、今日は髪を結い上げている。