中間試験終了後、リョウさんが家庭教師代を取ってくれないというので、お礼にクッキーを焼くことにした。


あの時はかなり落ち込んだけど、一晩寝て起きればいつもの私に戻っていた。


済んだことや、自分にはどうにもならないことをくよくよ悩み続けるのは苦手だ。


自分にできることをやって前に進んでいたい。


食堂のキッチンを借り、小麦粉を練っていると、カンジさん、タカさん、リョウさんがそろってやってきた。


「お?みのりちゃん、何してんの?」


カンジさんが、カウンター越しに声をかけてきた。


「クッキーを焼こうと思って。皆さん、甘いものは好きですか?」


タカさんは苦手、とのことだったが、カンジさんとリョウさんは好きみたい。


リョウさんに「嫌い」、と言われたらどうしようかと思ってたけど、よかった。