夜、寮に着き玄関を入ると、ソファにリョウさんが座っていた。


「おかえり」


目が合うと、読んでいた本を閉じ微笑んでくれた。


「ただいま」


すごく久しぶりに会った気がした。


両親と一緒にホテルにいる間ずっと、リョウさんに会いたい、とそればかり考えていたからかもしれない。


なんとなく照れくさく感じながら、リョウさんの隣に座った。


「ご両親は無事に出発した?」

「うん」

「そっか」

「また、夏休みに帰ってくるって。
『あんまり久保田さんに迷惑かけないのよ、仲良くね』って母に言われた」

「そう」