ファーストクラスの恋 ～砂漠の王子さまは突然現れる～

大学に入ってから３年付き合った彼に「旅行の手配は俺がするよ」と言われ、当時の私は蓄えた旅行資金をそのまま託した。
子供の頃から頻繁に海外旅行に行っていて旅慣れている彼に任せれば安心だろう疑ってもいなかった。
まさか、日本からヨーロッパの往復航空券をすべてをファーストクラスで購入し、宿泊も５つ星ホテルのスイートルームを予約しているなんて当日まで知らなかった。
その頃の私はファーストクラスや一流ホテルのスウィートルームがどれだけ高いものかを知らなかったし、「足りない分は俺が出すよ」なんて言われても気にしていなかった。
そして、彼が言う「足りない分」が数百万円にもなることを知ったのは社会に出て半年後、お互いの仕事が忙しくて会う時間が無くなり別れ話が出始めた時だった。

いきなり彼のお母様を名乗る女性が私の前に現れて、今まで彼が私のためにどれだけのお金を使ってきたのかを知らされ、罵られた。
もちろん私はお金が目あてで彼と付き合ってきたわけではなかったけれど、安くてチープなものを嫌う彼といると節約も出来なくて、言いなりになって高いお店に同行していたのは事実だし、外出先ではいつも彼が支払っていた。
それを黙認していた私に責任があるのだと言われれば言い訳はできない。
でもなあ・・・