不思議なことに、私もハサンもお互いに相手のことが気になっていたらしい。
しかし、恋愛にトラウマを持ち常に逃げようとする私は必死に彼を忘れるとこを考え、ハサンの方は私について色々と調べて偶然にも自分の会社の面接を受ける予定だと知った。
そこから紹介者である部長さんに手を回し、今日の再会をお膳立てしたのだ。

「そんなに私に会いたかったの?」
「ああ」

ソファーに並んで座り、体を寄せ割った私たち。
私と会うの為にハサンは午後からの仕事をお休みにしているらしく、電話が鳴ることも声をかけられることもない。
はたから見れば公私混同も甚だしい状況だが、こうでもしなければ私たちの再会はなかったのだと思う。そういう意味ではハサンに感謝している。

「僕の秘書として働いてくれるね?」
「・・・はい」

私はハサンの秘書して三石商事に勤務することを決心した。