部屋を出ると先ほど案内にしてくれた男性がハサンに近づき何か話しかけたが、ハサンは静かに首を振り私の手を引いたまま歩き続けた。
そして、二人きりになったエレベーターの中。
音の無い静かな空間で緊張する私に、真っすぐに前を見たままのハサンが話しかける。
「僕がこの会社の社長だって言えば、凪は信じてくれるのか?」
私を振り返ることもなく独り言のように発せられた言葉。
この会社っていうのは、三石商事。
三石財閥傘下の大手商社。
当然上場だって果たし、日本を代表する優良企業でもある。
さすがにそんな大企業の社長が20代半ばの青年なんてことはあり得ない。
冗談としか思えない話に、私は少しだけ口元を緩ませた。
「信じていないみたいだね」
どこかのお金持ちだとは思っているけれど、さすがにそれは信じられない。
私はイエスともノーとも答えることなく、無言のままでいた。
そして、二人きりになったエレベーターの中。
音の無い静かな空間で緊張する私に、真っすぐに前を見たままのハサンが話しかける。
「僕がこの会社の社長だって言えば、凪は信じてくれるのか?」
私を振り返ることもなく独り言のように発せられた言葉。
この会社っていうのは、三石商事。
三石財閥傘下の大手商社。
当然上場だって果たし、日本を代表する優良企業でもある。
さすがにそんな大企業の社長が20代半ばの青年なんてことはあり得ない。
冗談としか思えない話に、私は少しだけ口元を緩ませた。
「信じていないみたいだね」
どこかのお金持ちだとは思っているけれど、さすがにそれは信じられない。
私はイエスともノーとも答えることなく、無言のままでいた。



